The Principles of Insurance

保険(insurance)の原理

大数の法則
確率論・統計学で確立されている大数の法則をわれわれの社会におけるさまざまなリスクに適用すると、個々の局面で捉えると予測困難で、かつ致命的な損害になりうるようなリスクであっても、同等の危険を十分な数集めることによって確率的に予測可能になり、また経済的損失も変動の少ないものになりうると考えられる。

現代の保険(insurance)は基本的に上の考えに基づいて運営されているものであるが、事業として公平かつ安定に営むために以下の原則の遵守が要請されている。

給付・反対給付均等の原則
契約者と保険(insurance)会社の間に締結される保険(insurance)契約において、保険(insurance)金と保険(insurance)料の間では以下の関係が満たされることが要請される。これを給付・反対給付均等の原則と呼ぶ。

P = ωZ

ここでPは保険(insurance)料、ωは定量化された保険(insurance)事故のリスク、Zは保険(insurance)金を表す。この原則は、保険(insurance)事故発生のリスクを媒介として保険(insurance)金(給付)と保険(insurance)料(反対給付)が等しくなるように要請されていることを示す。これによって保険(insurance)に加入する者は右辺に示される不確実なリスクを左辺に示す確実な保険(insurance)料と等価交換することができ、逆に保険(insurance)者(たとえば保険(insurance)会社)は確実な保険(insurance)料を受け取る代わりにこのリスクを引き受けていることを意味している。この原則が守られているという条件において、契約者と保険(insurance)会社のいずれにも不当な利得は発生せず、保険(insurance)契約は公正であると言える。

Insurance Risk Pool

上記の保険(insurance)に似たものには、主に生活協同組合や農業協同組合などの協同組合組織による「共済」もある。 この共済のうち、主務官庁を持たない、いわゆる無認可共済については、2005年に保険(insurance)業法が改正され、将来的に保険会社または少額短期保険業者のいずれかに移行することが義務付けられている。

一部の保険(insurance)組織では、一般の個人や企業から保険(insurance)料の形で徴収し、集めた保険(insurance)料で株式を購入したり、企業などに貸し出したり(融資)して、資金の運用を行ったりすることもある一方、他の保険(insurance)会社へ再保険(insurance)をかけて、保険(insurance)会社から見てのリスク(risk)(=万一の事故が発生した際の保険金支払いリスク)を分担していたりする。

保険(insurance)契約に該当する事件、事故や災害(保険(insurance)事故という)が発生した場合、所定の手続きを行って、保険(insurance)金を受け取るが、アメリカ同時多発テロ事件のような異常な事件が発生した場合、大成火災海上保険(insurance)のように、再保険(insurance)取引で大きな損失を出し、保険(insurance)金の財源が底を尽きて破綻した会社もある。

このような突発的事件・事故で保険(insurance)会社の経営は危機に陥いる可能性があるため、ソルベンシー・マージン比率が公開されている。この指標は、保険(insurance)会社のリスク耐久性を意味している。

outline of Japanese Insurance

保険(insurance)とは、加入者の財産や生命、健康などの危険(事件、事故や災害など)に対し、金銭面での損失をカバーするための事業である。

概要
加入者数が充分大きければ危険率は一定の経験値に収束する、という大数の法則により、危険率に見合った保険(insurance)料を徴収すれば収支が均衡するはずである、という考え方に基いている。

日本では、国が直接または間接にかかわる社会保険(insurance)として健康保険や介護保険、労働保険(雇用保険、労災保険)、年金保険(insurance)(厚生年金・国民年金など)の制度があり、医療費や介護費、失業時の生活費がカバーされ、また老後の生活支援の一部となっている。

民間の保険(insurance)は、生命保険と損害保険、疾病(しっぺい)保険などのいわゆる第三分野の保険の三つの業態に分かれている。保険(insurance)期間は、生命保険が数年~終身と長期にわたり、貯蓄的な性格を持つものがほとんどであり、損害保険は一日~一年程度の短期の掛け捨てのものが多い。両者の中間的位置付けである第三分野の保険期間は、一年~終身であるものが多い。

民間の保険(insurance)会社は、保険業法による免許事業制であり、生命保険業免許を持つ生命保険会社と、損害保険業免許を持つ損害保険会社が存在する。第三分野の保険は、両者とも取り扱う。